映画『消滅世界』パンフレット
映画『消滅世界』パンフレット
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自分の周りにある“普通”と自分から湧き出る欲情に向き合っていく物語
INTRODUCTION
性が消えた世界で、恋、家族、
そして愛は?
あなたの正常が試される
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第46回群像新人文学賞小説部門優秀作を受賞した『授乳』を皮切りに、『ギンイロノウタ』(第31回野間文芸新人賞)、『しろいろの街の、その骨の体温の』(第26回三島由紀夫賞)、そして『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞など、数々の文学賞を受賞。今、最も読むべき日本人作家のひとりである村田沙耶香が、2015年に上梓した長編小説『消滅世界』。結婚生活に性愛が入ることを禁じられた世界で、愛し合った夫婦から生まれた少女が、自分の周りにある“普通”と自分から湧き出る欲情に向き合っていく物語だ。SFの空気を纏い、“普通”や“正しさ”という問題に独自の視点で切り込んでいく村田沙耶香ならではの表現が成された小説が、長編映画という新たな形で表現されることに。本作は、村田作品初のメディア化となる。
人工授精での妊娠・出産が常識となった時代に、愛し合った両親から生まれた雨音は異質な存在だった。アニメのキャラクターと恋愛をし、夫の朔とは性愛を持ちこまない穏やかな結婚生活を楽しむ毎日。その頃、住民全体で計画的に人工授精、出産、管理を行い、住民みんなで子育てをする実験都市が千葉に生まれていた。家の外にいる恋人との恋愛がうまくいかず、“エデン”と呼ばれるその地に移住することにした雨音と朔だったが───
『消滅世界』映画化を熱望し自らメガホンを取ったのは、ミュージックビデオやドキュメンタリー映像などを制作し、長く映像の現場で経験を積んできた映像ディレクターの川村誠。本作で脚本も初めて執筆、これが長編映画監督デビュー作となった。キャストには、今を代表する実力派の俳優たちが揃った。世間の常識と自分の中の欲情に挟まれ、向き合い続ける主人公の雨音には、ドラマ「御上先生」や映画『ハピネス』などの熱演で注目を集める蒔田彩珠。そんな雨音と出会い、家庭に性愛を持ち込むことに嫌悪感を抱く夫の朔には、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」や映画『ゴールデンカムイ』などで強烈な印象を残した栁俊太郎。さらにふたりを囲む重要なキーパーソンとして、恒松祐里、結木滉星、富田健太郎、清水尚弥、松浦りょう、岩田奏、山中崇、眞島秀和、霧島れいからが脇を固める。無駄を排したミニマルな映像世界を音で彩るのは、国内をはじめ海外へ活動の幅を広げ、高い評価を得るバンド D.A.N.によるミニマルミュージック。D.A.N.が初めて手掛ける映画劇伴と主題歌が、観客の感覚をより研ぎ澄ませていくことだろう。
正しさとは何なのか。正しいと言われることは本当に正しいのか。それは自分にとっては正しいことなのか。 村田沙耶香の視点が、少子高齢化真っ只中の現代社会に突き刺さる。雨音が選ぶ選択肢は、はたしてあなたの前にも現れるだろうか?
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STORY
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母から「あなたはお父さんとお母さんが愛し合って生まれた子」と言われながら育った雨音。しかし人工授精の技術が発達し、夫婦が性行為をすることはタブーとされている今、雨音は交尾をして自分を産んだ母に嫌悪感を抱いている。人が恋や性の対象として見るべきなのは、家の外の恋人や二次元キャラクターだと言われているし、雨音の初恋もテレビアニメの主人公の少年・ラピスだ。雨音がラピスに恋をしていると実感するとき、自分は母とは違うのだ、周囲と同じく正常だとわかって喜びを感じた。雨音は、同じようにラピスに恋をしている同級生の水内といろいろな話をした。ラピスを思いながら、雨音と水内は初めてお互いの身体をつなげた。
大人になり結婚をした雨音だったが、夫に襲われそうになり離婚をする。夫から性欲を向けられショックを受ける雨音だったが、病院で医師になった水内と再会。男性の妊娠を研究している水内の話を聞くうちに落ち着きを取り戻していった雨音は、高校からの親友である樹里の勧めで、出会い系アプリに登録をする。そこで出会った朔は、雨音の元夫の行為に吐き気を催し、雨音に心からの同情を寄せた。
かつて雨音や樹里たちが暮らしていた千葉は今、実験都市となっている。選ばれた住民たちが一斉に人工授精を行い、生まれた子どもは住民全員の子として愛されながら育つその都市は、“エデン”と呼ばれている。家の外に恋人を作ったもののうまく恋愛ができなかった雨音と朔の夫妻は、エデンへの移住を決める。水内の協力を得て、エデンには明かさないままふたりの子どもを授かろうとする雨音と朔。二人にとっての楽園(エデン)はユートピアか、それともディストピアか・・・・
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